む らトピア経済とは何か?

階級社会と所得格差(資本主義も共産主義も)

  むらトピアによって3つの文明が融合されれば、絶対神による神 (K) の支配から私たちは解放されます。ではお金 (K) の支配から解放されるためにはどうすればいいのでしょうか。国際銀行家が無から創造し、利子をとって貸し付けている債務貨幣を、政府が無利子で発行する公共貨幣に切り替えればいいのです。この公共貨幣の理論やその移行については、すでに「公共貨幣」と「公共貨幣入門」の2冊の本を出版していますので、それらを学習ください。
 ここではそうした公共貨幣への移行を含む「むらトピア経済」への移行について考察してゆきます。むらトピア経済とは何か、なぜそれが必要なのでしょうか。それを理解するためには、GDP(国内総生産)の概念をきちんと理解することが必要です。GDPとは、私たち国民が1年間に生産する財・サービスの総量で、国民の年間の豊かさを計測するマクロ経済指標です。GDPでは真の国民の豊かさや幸福は計測できない、なぜならば、子育てや在宅ケアなどの家族による家庭内労働といった無償のサービス生産が無視されているからであるといった批判もあります。しかしながら、私たち国民はこのGDPの生産によって毎年、大切な命をつないでいますので、最も重要な経済指標の1つであることに異論はないでしょう。
  このGDPがどのように国民の所得として分配されているのかによって、国民の豊かさに大きな違いが生じてきます。私たちが生活している資本主義社会では、GDPは以下の図のように分配されています。まず毎年生産活動を維持するために、主食であるお米のタネ米を来年度の収穫に残したり、機械や建物等の資本の年間の摩滅を補填してゆく必要があります。これらの支出分を減価償却と言います。これらを差し引いた額が国民に所得として分配されてゆくのです。


  ではどのように分配されるのでしょうか。GDPの生産のためには、労働、資金、土地、資本といった生産要素が必要となります。私的所有が許されている資本主義社会ではこうした生産要素は、労働者、銀行家、地主、株主(資本家とも言われる)といった階級によって所有されており、こうした要素が生産に利用されるためには、その使用料を所有者に支払わなければならないと経済学では教えます(ウソその1)。すなわち、労働者には賃金、銀行家には利子、地主に地代、株主には配当です。
  こうした使用量はGDPの生産に貢献した額(限界生産力)に比例して、賃金、利子、地代、配当として需要と供給の市場原理に従って支払われるので、GDPが全て消費・投資として利用されれば(すなわち、売れ残りといった不均衡がなければ)各生産要素への公平な所得分配がなされることになると、経済学で教えられます(ウソその2)。私たちはこのマクロ経済学の大きな2つのウソによって洗脳されています。
  この嘘を見破るのは実に簡単です。所得を汗水垂らして働いて得た所得(労働所得)なのか、生産要素をたまたま所有していることによって得られた所得(不労所得)なのかによって以下のように2つに大別してみます。

労働所得 = 賃金
不労所得 = 利子 + 地代 + 配当 (利潤)

 働かなくてもGDPの分前が得られるのであれば、誰も不労所得を選ぶはずです。もし、民主主義で所得分配が決定されるのであれば、労働所得はゼロとなります。ロボットやAIによる生産管理のみでGDPが生産されるのであれば、こうした不労所得の社会を実現してくれる政党は国民の圧倒的支持を得るでしょう。一人当たりGDP(例えば400万円)の所得が毎年政府から平等に支給される社会です。私たちはGDPが不労所得の分配のみでなされるようなこうした社会は100%実現されないという前提で思考しています。もし、労働所得が無くせないとしたら、誰かが苦痛な労働を奴隷のように強制されることになり、所得格差が必然的に発生してきます。この労働を毎年くじ引きで決めて、数年間国民全員が平等に労働するのであれば、そうしたシステムもあり得るかも分かりせん。しかし、現実は生産手段を所有しない労働者が奴隷として働かされているのです。多くの経済社会問題はこうした階級による所得格差から発生しています。私たちが生活している資本主義社会はまさにこうした格差階級社会となるのです。
   ではこうした格差階級社会をなくすにはどうすればいいのでしょうか。経済学者マルクスは、生産手段の私有が諸悪の根源であるとして生産手段の私有を廃絶する共産主義社会を提案しました。共産主義とはまさにこうした階級と格差のない理想の社会を実現することだとどれだけ多くの国民がマルクス主義・左翼思想に騙されてきたでしょうか。旧ソ連や現在の中国の共産主義社会を冷静の観察すれば、こうした主張はウソであるということがすぐに判明します。生産手段の私的所有(私的階級)が許されていない共産主義社会では、地主や株主階級に代わって共産党官僚が新たな公的(共産)階級として不労所得を独占する新たな格差階級社会が実現したのです。さらにこれらの階級の上に、国際銀行家が君臨し、無からの債務貨幣の発行による利子所得を独占するという構造が密かに組み込まれていたのです。私たちはマルクス経済学に完璧に騙されていました。共産主義は資本主義の悪を根絶してくれる「白馬の騎士」では決してあり得なかったのです。左翼思想にかぶれている左翼の皆さん、今一度立ち止まってこの現実を直視してください。

 では、階級社会から派生する不労所得や格差をなくして、国民全員が労働所得を公平に受け取れるような社会はあるのでしょうか。あります。私たちが提唱しているむらトピ経済社会です。この社会では全員が働きますので、不労所得のような資本主義・共産主義の階級社会から派生する所得格差は解消され、GDPは労働に従事した生産者や全社員に労働所得として分配されます。こうしたことが可能になるためには、むらトピア経済は、以下の4つの柱から構成されなければなりません。これらが実現されると、所得格差はなくなり、労働者は奴隷のような状態から解放され、各人の生活や人生が自由に享受できるようになります。むらトピア経済理論とはこうした社会を実現するために私たちが提案してる経済理論です。これにより、約2世紀にわたって私たちを呪縛してきた資本主義擁護の新古典派経済学や、マルクスの資本論や共産主義経済学から解放されます。共産主義による階級社会の解消という左翼理論は虚偽ということになります。むらトピア経済という新しいパラダイムの誕生です。以下、4つの柱を簡単に考察してゆきます。

むらトピア経済:階級社会と支配構造の消滅

むらトピア経済とは以下の図にあるように、4つの柱から構成されます。

第1の柱:公共貨幣(←債務貨幣)

 現在の債務貨幣システムを公共貨幣システムに移行します。移行の詳細は「公共貨幣入門』を参照ください。現行の債務貨幣システムではお金はすべて利付の債務貨幣として発行し、家計、企業、政府に貸し付けられます。政府の債務を例にとると、政府は国債を発行してお金を借りているために、毎年銀行家に約30兆円もの利子を払っています(国民一人当たり約25万円)。この財源は私たちからの税金です。もし経済に必要なお金はすべて公共貨幣として無利子で政府(公共貨幣省)によって発行されることになれば、私たちの国民所得はその分増加します。さらに銀行家はこうして得た不労所得の利子で株式や土地を買い占め、高額の配当や地代といた不労所得を要求してきます。公共貨幣はこうした所得格差やお金による経済支配をなくすことができる、まさに1石3鳥や4鳥もの幸福をもたらすシステムとなります。

第2の柱:日本的経営(保有制)(←私的所有制)

  会社は株主のものではなく、社員のものであるとする日本的経営を実践します。まず、非正規社員を正規社員として採用するといった日本的経営を実践する企業に、正規社員化に伴う賃金コストを公共貨幣から助成するのです。これだけでは十分ではありません。現行の株式会社制度では、利潤はすべて株主への配当所得として吸い上げられるのです。これを阻止するためには、現行の会社法を改定して、株主総会を、株主・社員総会として、社員の意思が反映されるようにすればいいのですが、このために必要な関連条文の改訂は法律家に検討してもらう必要がります。
 しかしながら、会社法を改正しなくても、日本的経営を実践できる方法があります。パートナーシップや生協のような会社組織にするのです。また、そうした会社を公共貨幣によす助成金で積極的に側面支援するのです。こうした日本的経営の会社が市場経済でフェアに競争すれば、株式会社と競争しても負けることはないでしょう。このようにして日本的経営の会社がやがて経済活動の中心を担うようになってゆきます。この結果、株主への配当所得もやがて消滅し、所得格差も解消されてくることでしょう。
  こうした日本的経営のメリットに加えて、さらに大きな効果があります。正社員としての職の安定を得た社員、労働者はやがて仕事に集中し、自らの製品に誇りを感じるようになります。仕事三昧、仕事による救済 (Salvation at Work)、幸福が実現されるのです。すなわち、日本的経営は、自力救済による至福への道ともなるのです。むらトピアの文明は自力救済が主流の文明となるでしょう。

第3の柱:雇用市場(←労働市場)

 日本的経営を実践する経済では、資本主義のような雇用・解雇を繰り返す奴隷のような労働市場はなくなり、雇用のみの一方通行市場となります。むらトピアの市場経済は、財やサービスのみが自由に交換される本来の市場となります。労働者は奴隷のような労働市場から解放され、株主への配当のために強要される搾取労働や配当による所得格差から解放されます。さらに、良い製品を作れば市場から高い評価が得られ、それが生産の喜びとなり自己実現ができる職場環境が実現されます。財やサーピスの生産に集中し、仕事三昧となることで至福に至る職場となります。まさにむらトピア経済の職場は、禅仏教が教える「動禅」による至福への世界となるのです。このようにむらトピア経済の雇用市場は、自己の能力が最大限発揮できるような職場を常に探求する、まさに自力救済の市場へと進化し、パラダイムシフトします。

第4の柱:持続可能な社会(自然と生きる)

 以上にような3つの柱からなるむらトピア経済は、やがて自然と共に生きる地球環境にやさしい持続可能な社会となるでしょう。自然に生きるとは、1万年以上も続いた縄文文明に再び、里帰りするのです。持続可能社会の実現のためには以下の3つの再生産性(Reproducibiilty) が実現されなければなりません。

     ・物的再生産 (Physical Reproducibility)
     ・社会的再生産 (Social Reproducibility)
     ・エコロジカル再生産 (Ecological Reproducibility)

  こうした再生産性のASDモデルによる分析は、本 Web に掲載の 持 続可能(サステーナブル)な社会を考えるガイダンス―システムダイナミックスによる環境モデリング入門&ワールド3モデル―をご参照ください。むらトピア経済社会はこうした3つの3条件を満たす持続可能な社会を実現してくれるのです。

 以上むらトピアの4つの柱について説明してきました。詳細は今秋、欧米で出版予定の英文書

Public Money – The Systems Solution to End National Debt, Banking Crisis, Built-in Inequality, Inflation and Control by CBDC

 をご参照ください。

 以下の図はむらトピア経済の簡単な概念図です。横軸は左翼(リベラル)と右翼(保守)の対立を表しています。こうした対立軸は、債務貨幣という支配の手段を用いて世界を「分断支配」するグローバリストと呼ばれるエリート組織によって意図的に作られ、私たちはこの対立軸の中で無用の対立をされられてきました。最近こうしたグローバリズムに対抗する反グローバリズムの運動が盛んとなりつつありますが、こうした横軸の世界にとどまる限り、グローバリストにとっては痛くむ痒くもありません。なぜならば反グローバリズムが優勢になれば、グローバリストは反反グローバリズムという新たな対立軸をぶっつけてきて、分断支配を工作し始めるからです。
 ではどうすればこの永遠の対立軸である横軸の世界から抜け出すことができるのでしょうか。最近の反グローバリズムの運動に欠落している(させられている?)のは、債務貨幣システムから公共貨幣システム(縦軸)への移行という観点です。まずは、利付債務という債務貨幣の悪魔の支配から私たちを解放し、公共貨幣システムという第1の柱を打ち立てるのです。そして残りの3つの柱を次々に立ててゆき、ムラトピア経済の新しい世界を創造してゆくのです。